低炭水化物ダイエットの効果
ここまでの内容をご覧になっても、本当に効果があるのか、殆んどの方は疑っていると思います。実際に試してみるまで、私もとても信じられませんでした。
(この先、ちょっと長いです。)誘導ダイエット(脂肪分解/ケトーシス)の効果
1ヶ月程度誘導ダイエットを実践した結果です。まるで脂肪が溶けて何処かへ流れていったように感じます(比喩です)。まさに「脂肪分解/ケトーシス」が起きていたのではと思います。前年末に120kgを越えていたのですが、下記のデーターは実践をはじめて数日たってから取り始めたので、少し体重が減っています。
この後も炭水化物摂取を控えた食事を続けたところ、半年足らずで80kg前半台まで減量できました(データは「誘導ダイエット」を行っていた100kgを切る所まで。)。しかし、炭水化物の摂取量を増やすと、90kg近くまで体重が戻ったりしました。
誘導ダイエットの効果 (National DM-W1にて測定) |
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体重だけでなく体脂肪率を測定しましょう。手許に体脂肪率計が無いのであれば、最新型の体重体脂肪率計をどうぞ。
体重等の測定については、私は1週間ごとに測定しましたが、ヘラー博士の(低炭水化物中毒者のための)低炭水化物ダイエット(参考文献)では、毎日測定し、1週間ごとの平均を求めるよう勧めています。
代謝の利点、カロリー神話の崩壊
驚くべき数字が出ています。最初の10日間は、1日あたり350g体重が減少しています。脂肪としてカロリーに換算(1g=9kcal)すると1日に3150kcal分減少したことになります。一見病的ですが、そんなことはありません。私は(2006年現在でも)通常通り生活しています。なお、私は激しい運動やスポーツは行っておりません。基本的にはコンピュータの前に座っての作業です。多く見積もっても1日2500kcal程度のエネルギー消費と思います。このあと説明しますが、摂取カロリーはもっと多いです。上記データを見る限りカロリー理論は破綻しています。詳しいことは後述します。
脂肪だけが減少(リバウンドしにくい)
もう一つ注目すべき点があります。期間を通じ、脂肪は減っていますが、脂肪以外の部分は減っていないということです。つまり、筋肉など重要な組織は殆んど(全くとは言いませんが)失われていないということです。これは非常に重要です。食事量(エネルギー=カロリー)の制限をするダイエットでは、大抵、脂肪以外の重要な組織にも何らかの影響をあたえるようです。特にたんぱく質が不足するために筋肉が分解されて、結果として基礎代謝の低下によるリバウンドとなります。アトキンス式の場合は、たんぱく質は十分摂取可能なため、筋肉をはじめとした脂肪以外の組織に影響を与えることは少ないと考えられます。つまりリバウンドしにくく且つ体を壊す可能性も低いのではないでしょうか。
実践した食事
理論と方法でも示しましたが、先ず「誘導ダイエット」として、2週間炭水化物摂取量を1日あたり20g以下に抑えます。これは、食事(食餌)でも説明しましたが、非常にきつい制限です。ですが、一生続けなければならない訳ではありません。「減量段階」とつづき、最終段階(一生続ける)である「体重維持段階」では「強いて炭水化物を取らない」程度で良いと思います(「体重維持可能炭水化物摂取量」には個人差があります)。
何度も示していますが、目標とする各栄養成分の摂取量は、
- 炭水化物:1日20g以下
- たんぱく質:1日に体重1kgあたり1g以上
- 脂質:植物性のものを50g以上
必須脂肪酸と言われているものを積極的に取るようにします(私はあまり厳密には考えませんでしたが)。動物性はあまり良くないようですが、どれも駄目というわけではありません。必須脂肪酸のバランスが重要です。このことについては、当方も理解不足ですが、「4・3・3ダイエット」にて少し解説されています。
加工食品に安定剤として添加されている脂質は極力避けます。加工食品に加えられている脂質やマーガリンは、トランス脂肪酸と言われ、最も健康に悪い脂質であることが一部の専門家から指摘されております。つまり、単純加工食品ではない加工食品は摂取を控えるべきということになります。これは「アトキンス本」にも詳しく説明があります。マーガリンは植物性なので健康に良さそうなイメージがあるかも知れませんが、元々常温で液体である脂質を強引に固形にしていると考えてみてください。実は、マーガリンは不健康極まりない物なのです。バターの方が安全です。
- ビタミンミネラル類:一般に言われている所要量
- コレステロール:気にすること自体が馬鹿げています
炭水化物は制限し、他は所要量をしっかり摂取することが重要です。「肉類だけを取ればよい」というのは大きな間違いです。
以下に私が「誘導ダイエット」で実践した食事の例を挙げます。これはあくまでアトキンス式ダイエットの理論が正しいのか興味があったので、かなり無茶なことをしています。参考程度にとどめ、絶対に真似しないで下さい。もっとも、かなり単調ですので真似しようと思う人はいらっしゃらないと思いますが...
- 朝食
- 木綿豆腐 1丁(約400g)
主食です。米飯の代わりです。醤油で味付けして食べています。豆腐は殆んどが水分で、良質のたんぱく質と脂肪が含まれています。炭水化物はあまり含まれていません。豆腐の原材料である大豆にはイソフラボンというポリフェノール類が含まれており、様々な健康効果が言われております。絹ごしよりは木綿豆腐の方が栄養価が高いとされています。 - 目玉焼き(1個ないし2個)
オリーブオイルにて焼き、塩胡椒で味付けします。コレステロールを気にすることはありません。コレステロール摂取を制限することなど馬鹿げています。コレステロールを摂取しても血中コレステロールは増加しないことが指摘されています(理論の脂肪、炭水化物とコレステロール参照)。
- 乾燥わかめ 少々
どうしても繊維質が不足してお通じがわるくなりますので、乾燥わかめを数gつまんでいます(お通じへの効果は絶大です)。
- 野菜ジュース(食塩無添加) 1パック(200ml)
野菜サラダを用意するのが面倒なもので…。 野菜ジュースに含まれているほどのたくさんの種類の野菜を用意するのは大変です(特に一人暮らしでは)。また、野菜ジュースには栄養成分が書いてあり自分で計算しなくても良いので、炭水化物摂取量を把握しやすいという利点があります。
1日の食事のなかでもっとも炭水化物が多いのが、この野菜ジュースです。2パック摂取すると、ほぼ炭水化物20gとなって1日の制限量に達してしまいます。ですので、「誘導ダイエット」では、1日1パック摂取しました。「減量段階」以降は、様子を見ながら量を増やせます。
具体的な商品名は挙げませんが、ニンジンや果実類が使用され炭水化物が多い野菜ジュースも結構あります。このようなものを摂取すると1日の炭水化物摂取制限量を守れないばかりか、血糖値を上昇させ脂肪分解/ケトーシスを妨げます。要注意です。
- サプリメント類
「誘導ダイエット」では、野菜類の摂取量もかなり抑えなければならないので、どうしてもビタミン類は不足しがちです。そのため、残念ですが、サプリメント(栄養補助食品)は必須となります。
基本的には錠剤タイプが無難です。ドリンクタイプなどは、それに含まれている炭水化物の量が無視できないのです(というよりもあまりにも多すぎで、お話にならない)。
- ビタミンCハイシーLを1錠
- マルチビタミンアンドミネラル1錠
- ビタミンB類1錠
- 鬱金(うこん)適量
食品 エネルギー(kcal) たんぱく質(g) 脂肪(g) 炭水化物(g) 木綿豆腐 308 27.2 20.0 3.2 卵(全卵 ゆで M) 90.6 7.2 6.1 0.5 野菜ジュース 45 1.9 0 9.3 朝食合計 443.6 36.3 26.1 13.0 卵の栄養成分は、生卵は殻も含まれているので、便宜上ゆで卵の値を採用しました(M:60g)。サプリメント類と乾燥わかめは少量のため無視。調理用の(ピュア)オリーブオイルも大量に使用(数10g)していますが、実際に摂取される量は不明のため無視しています。
炭水化物をかなり制限しているつもりでも、簡単に10gを越えてしまいます。結構大変です。
- 木綿豆腐 1丁(約400g)
- 昼食
- ベビーチーズ 20g×8個
チーズとは牛乳の脂肪分とたんぱく質の固まりのことです(←半分冗談です)。生乳やその他の乳製品と比べても、炭水化物含有量は非常に少ないのです。カルシウムが豊富です。チーズはナチュラルチーズとプロセスチーズに大別されます。本当は食塩などで味付けしていないナチュラルチーズが良いのですが、高いので...
1個あたりは大したことはないのですが、8個も取ると結構な量になります。日本人は、慢性的なカルシウム不足と言われております。アレルギー等でない限り、乳製品を積極的に摂りたいものです。但し、牛乳及びヨーグルト(プレーン含む)は糖分が比較的多いため、「誘導ダイエット」では摂取を控えるようにします。
食品 エネルギー(kcal) たんぱく質(g) 脂肪(g) 炭水化物(g) ベビーチーズ 8個 536 32 43.8 2.2 - ベビーチーズ 20g×8個
- 夕食
- 一日を通じての注意点
間食は基本的に禁止(摂取した炭水化物がわかっていれば良いのですが)。もちろんお菓子類は絶対禁止です。「誘導ダイエット」を実践すると利尿作用があるようです。水分はしっかり補給してください。ただし、清涼飲料水は糖分が非常に多いので絶対禁止、コーヒーなどのカフェイン含有飲料も禁止です。ミネラルウォーターや杜仲茶などにしましょう。どうしてもコーヒーを飲みたいという方は、カフェインレスコーヒーというものがありますので、それを利用してみては如何でしょうか? 私は、自宅で杜仲茶(ダイエット杜仲茶)を作り魔法瓶水筒にいれて持ってきていました。なくなったら職場にある自販機でウーロン茶(本当は良くない)を購入して補っていました。(今はスーパーなどで2リットルペットボトルを買いだめすることが多くなっています。)
- 管理人がお勧めするダイエット杜仲茶(この期間中に実際に飲んでいたものです)
- 管理人が今も飲んでいる野菜ジュース(この期間中に実際に飲んでいたものです)
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絶対に守らないといけないことは、決してわずかでも余計に炭水化物を摂取しないことです。炭水化物を摂取してしまうと血糖値が上がりインスリンンが分泌されせっかく起きかけていた「脂肪分解/ケトーシス」が止まってしまいます。再び「脂肪分解/ケトーシス」を起こすためには数日(炭水化物が枯渇する日数)が必要です
基本的には豚バラブロック500gがメインで、刺身や焼き魚なども適当に摂取していました。
食品 | エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂肪(g) | 炭水化物(g) |
木綿豆腐 | 308 | 27.2 | 20.0 | 3.2 |
豚バラ 500g | 2085 | 75.0 | 154.0 | 1.5 |
夕食合計 | 2398 | 102.2 | 174.0 | 4.7 |
豚バラは「大型種脂身つき」で計算。極端な例として豚バラで実践しました。もしみなさんが実践されるのであれば、もも肉やヒレ肉など脂肪が少ないものを選んでは如何でしょうか。
魚類は取る日と取らない日があったので、ここでは計算に入れていませんん。基本的に炭水化物は殆んど含まれていないので、炭水化物は無視できます(本当は計算に入れるべきですが)。エネルギーとたんぱく質と脂肪が増えるだけです。
一日あたりの摂取栄養は以下の通り。
エネルギー(kcal) | たんぱく質(g) | 脂肪(g) | 炭水化物(g) | |
朝食 | 443.6 | 36.3 | 26.1 | 13.0 |
昼食 | 536.0 | 32.0 | 43.8 | 2.2 |
夕食 | 2398.0 | 75.0 | 174.0 | 4.7 |
合計 | 3377.6 | 143.3 | 243.9 | 19.9 |
目標 | 特になし | 120g以上 | 特になし(植物性50g以上) | 20g以下 |
炭水化物摂取量は何とか1日あたり20gを割っています。これだけ極端なことをしないと20g以下は達成できないようです。しかし、これは、これまでの炭水化物に偏った食生活を矯正するためのもので、一生続ける訳ではありません。
しかし、3377kcalとはかなり極端に高いエネルギーだと我ながら思うわけです。ちなみに誘導ダイエットを始めるまでは2000kcal程度の玄米中心の食事でした。エネルギーの50%が炭水化物という、これまで推奨されてきた比率です。減量効果は1年で数kgと、殆んどありませんでした(血液検査の結果は改善されましたが)。
つじつまが合わない分は何処へ(代謝の利点)
「誘導ダイエット」の実践結果とそのときの食事を見ると、明らかにカロリー理論ではつじつまが合いません。私自身、実践してこの事実を目の当たりにするまでは信じられませんでした。
摂取エネルギー3377(kcal) - 消費エネルギー2500(kcal) = 877(kcal)
毎日877kcal分体重が増えなければならないはずですが、実際は3150kcalづつ減少(2002/1/6からの20日間)しています。つまり毎日4027kcal分が何処かへ消えてしまったわけです。(実際は消費カロリーも2500kcalよりは少ないと予想され、また夕食は上記の計算よりも魚などを余分に摂取しています。つまりもっと多くのエネルギーが何処かへ消えたことになります。) これを「代謝の利点」と呼ぶそうです。
どうしてこのようなことが起こるのかは、完全に理解されているわけでは無いようですが、血中の糖分が少なくなると脂肪を分解してエネルギーとせざるを得ない状態になり、脂肪分解物質が分泌されるようです。いままで炭水化物(糖分)摂取が多かった分、敏感になっているのかもしれません(長い間たつと、この状態に慣れてしまい、効果が出にくくなるでしょう)。
まとめると、
- 炭水化物が枯渇した場合、脂肪を分解してエネルギー源にせざるを得ない(または糖新生にて合成)。
- 脂肪を分解するには、余分なエネルギーが必要
- 極端に炭水化物が少なくなった場合、脂肪分解/ケトーシスも急激に起こり、エネルギーとして使われずに排泄されることもある
ではないでしょうか。